2015年9月20日日曜日

鳥の声 故人のこころ

今月の山門前の標語です。

今月は、奈良時代の僧、行基が作ったと伝えられる和歌からとりました。




「山鳥のほろほろと鳴く声聞けば
父かとぞ思ふ母かとぞ思ふ
 」
        (『玉葉和歌集』巻一九)

と書いてあります。山鳥が「ほろほろ・・・ほろほろ」と鳴いている声を聞けば、
父が、母が自分に呼びかけてくれるのでは無いか、と思うという和歌です。

この和歌は、鎌倉時代の正和元年-二年(1312-1313)に編纂された勅撰和歌集である『玉葉和歌集』に奈良時代の高僧、行基の読んだ歌として収録されています。
私がこの言葉を知ったのは、江戸時代に出版された、一般の方も読みやすい仮名文字・絵入りの
仏教に関する和歌(道歌)を百首集めた本を読んでいてのことです。
鎌倉時代に採録された和歌が、江戸時代にも伝えられ、紹介される。

千年の時代を超えて人々に愛される和歌、こういう伝統があるのです。

大流行曲「千の風になって」にも似た歌詩がありました。死んだ後は鳥になってという歌詩ですね。
千年も前から、つい少し前まで、日本で同様の和歌が愛され伝えられてきていたのです。



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