そろそろお彼岸(ひがん)の時期がやってまいります。

お彼岸とは何か?

 春は春分の日、(秋は秋分の日)にご先祖の冥福を祈りお墓参りをする季節です。



ですが、もともと彼岸は仏教の修行・悟りに由来する言葉です。

彼岸とは、もともと到彼岸(とうひがん)という仏教用語から来ています。我々のような煩悩の考えの世界ではなく(此岸)、反対側の岸(彼岸)に到る・・・ 悟りを開くという「到彼岸」という言葉なのです。



日本で行われるお彼岸は、ここから転じて、

亡くなった方が仏様の世界にいらっしゃると考えれば、それは我々の届かないこちらの岸ではなく、あちら側の岸ですから、彼岸なのです。

本来の意味と違うから、では、日本のお彼岸は無くすべきでしょうか?私はそうとは考えません。

このお彼岸会は、日本に千年以上もの間をかけて根付いた一大行事です。
古くは聖徳太子の時代からとする説もありますが、確かな記録上では、
延暦二十五年(六〇八) に桓武天皇が崇道天皇(早良親王)の霊を鎮めるために全国の僧侶にお経を読ませて弔いをしたことが確認できます。

「奉為崇道天皇。令諸国国分寺僧春秋二仲月別七日。読金剛般若経」『日本後紀』「延暦二十五年三月辛巳条」)

最初は、恐ろしい一族の霊を慰めるためであったのが、徐々に故人の静かにお弔いをする場となっていきました。そして、日本に春分・秋分の際に故人の菩提を寺で弔う彼岸会が根付いていったと考えられるのです。この時期は、一年で最も季候が穏やかな春、そして秋ですから、お参りもしやすい時期です。

ゆっくり故人に思いを馳せる日本のお彼岸の風習。私は大事にすべき風習だと思います。
いま、日本で代々的に行われる行事としてはやはり、クリスマスがあります。
ただ、クリスマスだけではなく、日本・アジアの風土に根付いた伝統行事のことも若い方にも知って頂き、大事にしていっていただければと思うのです。